Vierlande samplerが掲載されている本を紹介します。2冊目。



ORNAMENTEは、オランダの手芸総合誌"Handwerken zonder Grenzen"のドイツ語版です。
クロスステッチ・サンプラー全般に関する記事は4つ、計16ページ。
Vierlandeのアンティーク・サンプラーに直接関係しているのは(2)のみ。

(1) Das Deutsche Stickmuser-Museum Celleの紹介 (3ページ)
(2) 1826年のVierlandeサンプラー: 写真・説明・モチーフ解説など (4ページ)
(3) 1826サンプラーのモチーフをアレンジして作った、ベッドカバーと円柱の布箱 (6ページ)
(4) Jan Houtmanさんのサンプラー"Patchwork"の写真、"De Haemmaeker"の紹介 (3ページ)

以下、(2)と(3)について簡単に内容をピックアップします。
また、この記事の一番最後に、(4)に名前のあるJan Houtmanさんについて書きます。

(2) モチーフの考察と作品の説明は、サンプラー・オーナーのElfi Connemannさんによります。
モチーフの解説文は、雑誌 Anna Special Kreuzstich E535とほぼ同じ内容でした。
写真を参照しながらの説明で、若干長いバージョンになっています。
また、興味深い記述として、ステッチされている省略名CTN MGSについての推察がありました。
CTNはCatharinaの省略ではないだろうか、と記されていました。

(3) ベッドカバーは、ミシン縫いのパッチワークでした。
ピースの部分に、サンプラーのモチーフが面白いアイデアでステッチされています。
布は、赤地に白ラインの格子柄。
格子1マスを図案の1目に対応させて、モチーフを大きくステッチしています。
ステッチの種類はダブルクロス・ステッチ。糸は濃い青色。濃い赤色も少し使われていました。
バック・ステッチも用いられ、ちょうど白のライン上に青糸が被さっていることで
赤い布地と印象的なコントラストになっていました。

入手に至るいきさつを。
Celleの博物館を訪れた際に、Vierlande samplerにとても興味を持っていますと
お話したところ、1ページ分のコピーを分けて頂きました。
モチーフの意味が書かれてある部分でした。
前後の内容も是非読みたいと思い、根気強く探し続けました。
見つけた場所はebay.de。例によって、代行サービスを通しての入手です。

ところで、この雑誌とperminのチャートには、ちょっとした繋がりがありました。
私が持っている"Museum Celle sampler 1826"のチャート表紙は赤い背景のもので、写真下には
「Original Stickmuseum Celle - Foto Handwerken zonder Grenzen」と印刷されています。
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雑誌の内容ではありませんが、特に記したく思って書きました。

=Jan Houtmanさん=
オランダのクロスステッチ・デザイナー。1929-2007(生没年)。
アンティーク作品のモチーフから着想を得て、数多くのオリジナル・サンプラーを残されました。
彼の作品の中には、時折りVierlandeのモチーフを見つけることができます。

彼の没後には、Jan Houtman Foundation(基金)が作品集を出版しています。
本の題名は、"Een leven in kruissteek: A life in cross stitch"  ISBN: 9789090249780
ISBN付きですが、発行部数が少ないためか、一般の書籍流通には乗っていないようです。
現在、European Cross Stitch から購入できます。
出版に協力された方が、海外の掲示板で知らせてくださった記事によると、
収益は、"De Haemmaeker"に展示されている彼のサンプラーを保存するために役立てられるそうです。
書籍は、オランダ語と英語の併記。180ページを超えるフルカラーの大型本です。
彼の生涯についての記述もあり、各作品の写真には説明が添えられています。
なお、大作チャートが2つ収録されています。
タイトルは"Elk huis Heeft zijn kruis.."と"Ora et Labora"です。